メーゼント®︎はじめました

2020年9月に二次性進行型多発性硬化症に有効性を証明した初めての治療薬が発売されました。

フィンゴリモドとシポニモド

・フィンゴリモド(イムセラ/ジレニア)

・シポニモド(メーゼント)

今回の変薬で候補に上がったこの2つ。

何がどう違うのでしょうか?

 

身も蓋もない言い方をすれば『違いはない』『同じもの』なのですが、違う名前を付けて発売されている以上、違う物だと私は思っています。

 

フィンゴリモドはそれまでインターフェロン製剤しかなかったこの世界に差した希望の光でした。

インターフェロンが合わない人も多く、再発抑制効果もそんなに高いものではありません。

そして自己注射というのも負担のひとつでした。

そこに現れた経口薬で抑制効果も高いフィンゴリモドは注目の的でした。

当時テレビでも特集されていたのを覚えています。

 

私の友人がそうであるように、フィンゴリモドによって安定した生活を送れている人がいるのを知っています。

しかし、その一方で脱落していった人たちも多くいたことを知っています。

以下は私個人の見解ですが、フィンゴリモドは効きすぎたのだと思います。

悪さをするリンパ球をリンパ節に止めることで再発を抑制するのですが、リンパ球数が下がりすぎ、週5の服用に変え、隔日に変え、服用する日をどんどん減らした結果、それに比例するように増える再発。

フィンゴリモドには0.5㎎という量のものしかなく、細かく量を調整できなかったのも問題だったのかも知れません。

また、半減期の長さも扱いづらい問題点であるように思います。

 

ではシポニモドはどうなのかと言えば、根本的には同じ薬なのです。

違いは大きく3つ。

①SPMSに効果を認めた初めての治療薬であること。

②0.25㎎と2㎎の2つの量があること。

半減期が少し短いこと。

一見問題は解決したかのように見えますが、きっとそうではないのでしょう。

改善したかった『循環器系への副作用』は残ってしまったように。

 

シポニモドはSPMSの患者にとって、また自分に合った治療法に恵まれなかった者にとって希望そのものです。

(今現在、日本においてはSPMSまたはそれが疑われる患者のみの適応ですが、今後拡大される可能性があります)

調べれば調べるほど耳障りのいい情報ばかりヒットします。

でもそれはエビデンスが足りていないことの裏返し。

この薬の評価はこれからです。

 

少しばかり嫌なことを書きましたが、どんな薬にもベネフィットとリスクはあるという至極当たり前のことを再認識し、薬を理解して導入したいと私は思っています。

そして自分で選択した以上はその薬を信じて飲みたいとも。

願わくば、いつかこのDMDジプシー全ての平和的終息を…それぞれに合った治療法が見つかりますように。